はんだ付けアートで何を作ろうか?横浜にはモチーフになる名所がいっぱい
- 【作品サイズ 高さ:約26cm 最大径:10.5cm】 横浜のマリンタワーをモチーフにしました。実物は高さ106m。作品の構造としては、土台建物、塔、展望フロア、灯台の4つのブロックに分かれます。
- 実際のマリンタワーでは骨組みだけの部分は塔だけで、展望フロアはガラス張り、土台の構造物は円筒形のビルディングです。そのあたりをどう表現するかが難しいところでした。線によるポリゴンで表現する、ということで割り切りました。
- 灯台部分(2008年まで稼動)のアップ。灯台部を別途作成し最後に下の展望台ブロックとはんだで接合します。ブロック間のはんだ付けは各ブロックが既に熱的に結合されているため、意外に熱を奪われます。
- 実際の塔は10角形の円筒状ですが、作品では8角形にしました。階数が上になると横の梁の隙間が狭くなるので、3種類のジグを高さに応じて使い分けました。
- 土台のビルディング部分。この作品では、真鍮の時間経過にともない古びていく風合いを出したかったのですが、真鍮とはんだの色が違うので、どうしても工程途中のように見えてしまいます(一つ前の写真でも顕著)。次は塗装するの?メッキするの?と言われそうです、残念。
- 習作3点。マリンタワーを作ってみようという思い付きがあって、技術的に可能なのかを確かめるために作りました。ジグや技法の改良を繰り返し、行けそうだという手ごたえを得るまでに3台溜まりました。
- 【作品サイズ 幅:28.7cm 縦:10cm】 横浜新港埠頭(現:赤レンガパーク)にある赤レンガ倉庫1号館です。もし良い印象をお持ちになられたら、それはオリジナルのデザインのよさです。設計は妻木 頼黄(つまき よりなか)という安政6年!生まれの建築家。
- 2作目では、壁に掛けられる、卓上に置ける形状にしました(2D)。マリンタワーのような3D作品は工数がすごくかかるのと、将来販売を考えた場合2Dの方が場所をとらないので受け入れられ易いという噂もあります。板に線材(予備はんだした錫めっき銅線)を垂直に立てて、そこにレリーフ状の作品をはんだ付けでマウントしています。
- 板にはんだ付け作品をマウントする、という形態がどのように見えるのか、そのための最初の試作品です。ですが、板の下処理もしていないし、塗装も途中で塗料が足りなくなり薄めて延ばしたり、荒いところが目立ちます。この避雷針部も開き具合が違うし、線端は切りっぱなし。嗚呼...
- 窓は必要な個数分を先に作っておき、最後に板に垂直に立ててある線材にはんだ付けしていくのですが、そのときちょっとでも熱が回りすぎると窓がグシャと壊れます。
- 板と窓の関係がよくわかると思います。一つの窓に最低2箇所、きわどいはんだ付けをしなければなりません。この部分だけ接着剤使用(エポキシの速乾タイプ)も考えたのですが、それはそれでひどく手間なのですね、ということで腕を磨くしかないです。
- 卓上に置き横から見るとこのような感じ。窓の位置の不ぞろいや。傾き具合のふぞろいがよく判ってしまいます。
- 【作品サイズ 幅:31cm 縦:15.5cm】 パタロ橋(カナダ)を通る氷川丸(1939)がモチーフ。作品の位置がもう少し上の方がよかったですかね。図面の段階で何度も何度も(日にちを変えて)見直します。でも実際の作品を乗せると印象が変わるんです。
- この作品も壁に掛けられる、卓上に置ける、形状です。以降この形で工夫を重ねていくことになります。四隅の縁は今後どうするか迷っているところ。一応前方に倒した時のガード目的ではあるのですが。
- パタロ橋のアップ、この橋は現在もあるのでグーグル・アースで写真を得て参考にすることができます。奥側、手前側、その間の構造物、それぞれアレンジして図面にします。間隔は2mm程度です、後は自然な重なり具合に任せます。模型では無いので最終的な視覚を大事にしています。
- 船のような立体的な構造物を一旦平面に表現して(写真とか図面)、作品でどこを、どの程度立体的にするかが難しいところ。この作品ではマストとクレーンの柱を他の部分から浮かせています。
- 氷川丸のような有名な船は模型が出ています。その完成写真をアップしているサイトもあるので、参考になります。マストやクレーンの先端は径の細い線を巻いてアクセントを付けます。
- 立体を斜めから捉えた絵柄は難しいかもしれません。完全な3Dにするか(この絵柄の場合、橋を含めたジオラマになってしまいます)、前作のように完全に平面で見える範囲に限定するか、今後の課題です。
- 【作品サイズ 幅:29cm 縦:10.5cm 各作品は9cm×9cmが3点】 横浜三塔(各作品で説明)をモチーフに。今まで複雑で工数が掛かる作品が続いたので、本作では少しカジュアルな作品の可能性を試みました。あとはんだ付けでどの程度文字が表現できるのか、試してみました。
- 壁に掛ける場合、縦に吊るすこともできます。正方形×3点の作品構成にしたのはそのためです。3点構成だけではなく、いろいろと応用ができそうです。
- 横浜三塔その一。神奈川県庁本庁舎の塔の部分、通称:King(横浜に入港する外国の船員がトランプ・カードの絵柄に見立てた、他の二つも同様)。今さらですが、このギャラリーは横浜観光名所ツアーです。
- 横浜三塔その二。横浜税関の塔の部分、通称:Queen。シンプルな絵柄の場合、一部分に細かい細工を施すとアクセントになるようです。
- 横浜三塔その三。横浜市開港記念会館の塔の部分、通称:Jack。これは細かい部分が多いです。現物がそうなので仕方がありません。でも結果的に三点のセットのなかでアクセントになっているようです。
- この作品も横にレイアウトすれば、卓上に置くことができます。正方形の各作品と台となる板との間は磁石でくっつけてあります。取り外し自在。
- 【作品サイズ 幅:27.5cm 縦:9.5cm】 横浜ベイブリッジがモチーフ。船上から陸側を眺めているアングルになります。板は最初の色がうまく決まらず、下塗り剤で消した上に再塗装をして、乾燥を急いだためひびが入っています。残念。
- これも卓上に置けます。この作品形態を追求するのであれば、板のクオリティも重要になります。板自体の材質、塗装のムラの無さ、塗装膜の強さなど、はんだ付け以外でクリアーすべき課題がいっぱいあります。
- 橋の主柱は角型の構造物で、ボリュームもあるので角線を使うべきでしたね。そうすればワイヤーとのバランス(実物より太い)も良くなったかもしれません。トラス(三角形状の構造物)とワイヤーの数は実物と同じに合わせました。
- 橋を吊っているワイヤーは、細めの線材(0.3mm程度、それより細いとピンとなりづらい)をペンチでピンと整形し、予備はんだをします。主柱のしかるべき位置にやすりで切り込みを入れ、ワイヤーの中心を先にはんだ付けします。そして引きながらトラス部にはんだ付けして、余った部分をカットします。
- 背景の街並み(みなとみらい)はシルエットだけでは寂しいので、窓をイメージした線を打ち、はんだを盛りました。ちょっと線材が太かったですかね、でも細くすると板に刺さらないし、もう一工夫。
- 車が通れないじゃないか...、いえいえこれは模型ではないのでいいのです。でも支柱がまっすぐに揃っていないのはいけません。修行・修行。
- 【作品サイズ 幅:10.2cm 縦:30cm】 横浜ランドマークタワーです。この作品は図面に苦労しました。写真はたくさんあるのですが斜めのアングルが殆どで、下方から撮影しているので歪みも大きいです。建設関係の学会誌の略図や不動産屋の間取り図、グーグルのストリートビューなどを参考に約一ヶ月かけて作りました。
- 卓上に立てて置くこともできます。ビルのガラスの部分をできるだけ自然に表現できるようにと、この作品のベースは顕微鏡観察で使うスライドガラスです。76mm×26mm、厚さ1mmのガラスをカットして形を作ります。長さが足りない時はステンドグラスの要領でつないでいきます。
- 底部のアップ。ガラスにアルミ箔を貼ったような感じですが、ステンドグラスで使う胴テープを貼った上にはんだを流しています。熱し過ぎるとふちが反り返ってきます。ガラスの向こう側は紙を舟型に折って貼り付けています
- 中層から高層階(ホテルのフロア)に続く部分。本物はスモークがかったガラスの向こうに各フロアが見えます。ガラスをクリアーの塗料で均一に青暗い感じに塗れば、もう少し印象が違ってきたかも知れません。
- ガラスが反射している様子が判るでしょうか。この作品を通して難しかった点はガラスの小さなパーツを正確にカットするところです。場所によっては幅2mm~3mmを長さ60mmで切り出す箇所もあり、成功率2割くらいでした。専用の小さなブレーキングプライアを作りました。
- 【作品サイズ 幅:10cm 縦:30cm】 こちらは、今までも作ってきた線材による造形を木の板にマウントする方法です。図面に随分時間を費やしたので、同じ図面でもう一品作りたくなりました。
- こちらも卓上に立てて置くことができます。板の塗装は今まで艶消しのエナメル系塗料(ラッカー系の塗料は、はんだのヤニを洗浄する際のIPAに弱いのです)を使っていましたが、塗装膜はとても弱いのです。そこで今回はアクリル系のコーティング剤(光沢)をエナメルの上に塗布しましたが、やはりIPAには弱いようです、仕上がりもテカッてしまい余り合いませんでした。
- 底部のアップ。こちらの作品ではビルの壁面はピッチの細かい横線、ガラス面は空白で表そうとしました。根気があれは技術的にはそんなに難しくありません。
- 中層階から高層階のアップ。中央のピッチが細かい横線の部分は、実際にはかなり深くへこんでいます(ガラス版を見てください)。この感じを平面でどう表現するか(錯覚させるか)、いろいろ描いてみました。中央下ににひし形の構造が3つ並んでいますが、ここも手を抜かず横線を入れてみました。
- 底部から中層階へのアップ。幅の狭い縦線が2本上に向けて走っています。本来ここはガラスの部分は空白にすべきところではありますが、細かいピッチの横線で埋めた方が、全体に緻密間が生まれるのと、中央部がへこんでいる感じがでるので、このようになりました。