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アトリエ Zinn 機材・道具ページ

はんだ付けアート製作に必要な機材や道具、自作の便利ジグ、その他あると便利なものなど


道具

ギャラリーに掲載した作品製作に使用した道具類、ジグについて、ざっとお伝えしようと思います。
道具類はメーカー名と型番を入れた方が親切だと思うのですが、既に製造中止のものもあり、この先改版になるものもあるかも知れないので、外観の写真を見て当たりをつけていただければ、と思います。





はんだごて関連

はんだごては、温度調節機能があり、こて先の交換ができ、こて先のバリエーションが各種あること、が必須条件になります。
ここは、はんだ付け経験がある方を前提にした説明になっています。
はんだ付けをやったことが無い方は、ゴッドはんだ株式会社 WEBはんだ付け講座をご覧になることをお勧めします。

はんだごて

写真左のモデルは、オークションでこて先5本付きでいい出物があったので手に入れました。
このモデルでなければ「アート作品」は作れない、なんてことは絶対にありません。
写真右はそれまで使っていたモデルです(HAKKO FX-600)。
実勢価格 3,800-4,400円程度です(2018.3時点)。

こて台とこて先クリーナー(スポンジタイプ)

こて先は300度位になりますので、しっかりした専用の台を使います。
スポンジは常に湿らせておき、はんだ付けをする直前にこて先を当てて汚れをを取ります。
はんだ付けをした後はそのまま(汚れをとらない)方が、よいです。その方がこて先が守られます。
写真のボトルは水、スポンジが乾いた時、いちいち席を立たずに済みます。

こて先クリーナー(ワイヤータイプ)

こて先をグサグサ刺し込んで(強く刺し過ぎるとこて先が底づきするので注意)汚れを取ります。
スポンジとは異なり湿り具合を気にしなくてよいのはよいところ。”金たわし”がへたってきたら、たわし全体を回して新しい部分を使います。
クリーニングするタイミングはスポンジタイプと同じです。

チップクリーナー

こて先が黒ずんでくると、はんだを弾くようになってしまいます。その時使います。
私はクリーナーにジュッと突っ込んだ後、何度も折り返したティッシュでふき取ります。
更に新しいはんだをこて先に溶かして乗せて、ふき取る場合もあります。
それでも汚れが取れない場合は、ステンレスの薄い板(10cmの直尺とか)でそっとコリコリして汚れを取り、もう一度繰り返します。

はんだ吸い取り線

線材を予備はんだ(はんだコーティング)する段階で、でこぼこした部分や、厚ぼったくなった部分のはんだ除去に使います。
細かい線材どうしのはんだ付け部分では使っていません。
吸い取り線はフラックスを含ませた銅の編み線です、活性化するためにはその分を加熱する熱量が更に必要になるので、溶けて欲しくない部分まで溶かしかねません。やすりで削った方が得策です。



工具類

工具は大から小まで、多種多様あるのですが、私のはんだ付けアートでは、大きいもの(例えば電工用)は使いません。
電子機器組み立て用の工具でほとんど間に合うと思います。
参考までに工具写真に10cmのスケールを入れておきます。

ニッパー

線材を切るのに使用します。
左は米国XURON(ズーロン)社製高炭素鋼強力ニッパーで切れ味抜群。
中央は国産品で汎用的に使っています。
右は国産メーカー品ですが、MADE IN ITALYと書かれています。0.8mmの鉄線まで切れる、とあるので真鍮線用に使っています。

やっとこ

線材を曲げるのに使用します。
ラジオペンチに似ていますがペンチには歯があるので線材に傷が付いてしまいます。やっとこには歯はありません。
左より、ホーザン社製精密プライヤー、線材をしっかりと掴めます。中央は国産品で刃先が細身のもの。
右は昔から我が家にあるもの、出自は不明。

ピンセット

はんだ付けの際に線材を掴んでおくときに主に使います。
その他細かい部品などを掴む、など意外に使う機会は多いです。
左より、ホーザン社製のハイパワータイプ、第二の指のようなもの。中央同じく先細タイプ、左のピンセットが入らない狭い場所で線材を押さえます。
右は先端を少し丸めに加工した汎用品で、板の上でやっとこで押さえた線材を曲げる時に、先を閉じた状態で押し当てて使ったりします。
ステンレスのしなり具合がいいようです。

やすり

切った線材の長さを揃える、付け過ぎたはんだを削り落とす、線材を鋭角的に曲げる際に裏側の肉を削って抜く、などに使います。
その他ジグを作るときもよく使います。
いいものを探しているのですが、今のところホームセンターで手に入るもので間に合わせています。やすりから見ると、はんだ、銅、真鍮などは軟らかいはずなのですが、意外にすぐ切れ味が悪くなります。
紙やすりは、主にすずメッキ銅線のすずメッキを剥がすのに使います。
プラ用コンパウンドは線材にピカリとした艶が欲しい時に使用。

ペンチ

切った線材をピンと伸ばすために使います。
両手を使い、線材の両端をペンチで掴んでちょっとたるませて、両腕を広げるようにガツンと引っ張ります。
力を入れすぎると細い線材だと伸びて太さが変わってしまいますし、掴む力が足らないと線がすっぽ抜けます。

ピンバイスと千枚通し

ギャラリー掲載の作品で板にマウントされているものは、板に0.5mm~0.7mm径の予備はんだをした銅線を挿し込み立てて、その線端に作品をはんだ付けで接合しています。
板にそのための穴を開けるために使います。
原理的には手動ドリルです。刃はドリルの刃をミニサイズにしたものと考えてよいのですが、何しろ細いのでたまに折れます。
千枚通しはバイスで穴を開ける前に、板にガイド(軽い刺し跡)をつけるために使います。

ノギス・尺

ノギスは、線材の太さを測ったり、線材を同じ長さで複数切らなくてはならないときに、定量カットジグ(後述)の設定に便利です。
余裕がある方はデジタル表示のものがよいかと思います。
10cmの尺は本来の目的の他にいろいろと役に立ちます。

その他、あると便利なもの

フラックス容器

私の場合、フラックスを粘りのある状態に加工するので、別の容器が必要です。写真はホームセンターで手に入れた容器です。
私の場合は、フラックスははんだと同じ頻度で使用するので、容器は下に重りを付けてフラフラ動かないようにしてあります。
竹ぐしかつまようじで適量を取ります。筆は線材の予備はんだの際、線全体にフラックスを塗布するためのもの。

線材立て

太さが近い線材が混ざってしまうと、肉眼では判別しにくい時があります。そのために線材を太さ別に立てておくもの。
これも底に厚めのL字金具を接着して、倒れにくくしてあります。
扱い易い線材の長さは、作業する人の腕の長さにもよると思うのですが、私の場合は両端のロス分を含めて35cmあたり。

顕微鏡・拡大鏡

細かい細工をしたい場合、歳のせいもあり顕微鏡を使っています。
モノタロウに2万円程度の実体顕微鏡があります。倍率は20倍、40倍固定ですが、20倍しか使っていません(10倍、20倍だと文句なしなんですが)。
品番 ST-30R-P(リンク切れの場合はモノタロウのサイトで”実体顕微鏡”で検索してください)
このままの姿ですとはんだ付け用には向かないので、スタンドとLED照明を自作しました。
そういった本体以外の費用を考えると、照明付きでしっかりした拡大鏡と価格的にそんなに変わりません。

テーブルバイス

ジグ作成時、基板をカットする時にホールドしたり、ちょっと何かを固定したい時に便利です。
写真のものは値段は安いのですが、重量のバランスが悪く台座の左側に釣り用の重りを入れています。



防護用品・クリーニング用品

はんだ付けは、場所によって(太めの線材の予備はんだなど)こて先部分で350度くらいにする場合もあります。
当然溶けているはんだもフラックスも高温です。
また生のフラックスは手に付くといつまでもべとついて、非常に不快です。また経皮でも有毒と容器に書かれています。
これらの危険・毒性から体を守る必要があります。
トップページの免責事項・注意喚起も併せてお読みください。

防護めがね

溶けたはんだやフラックスの飛まつ(予備はんだや弾性がある部分のはんだ付けで起こりがち)や、その他薬剤から目を保護するものです。
安いものでもよいかと思うので用意したいものです。

綿手袋・ゴム手袋

乾いた綿手袋は意外に熱に強いので、はんだ付けで熱くなりそうな線材を、指でちょっと押さえたい時などに火傷防止のために使います。
あと、生フラックスを扱う(容器を移し変えるなど)時にも専用に一双用意しておいた方がいいかと思います。
はんだ付けの接合部は、IPA(イソプロピル・アルコール)で洗浄しますので、その際に薬剤に弱い方はゴム手袋か指サックを使用します。

吸煙対策品(その1)

はんだ付けで発生する煙の有害性について調べてみました。
アート製作には共晶(有鉛)はんだを使用しているので鉛の害も心配です。JWES(日本溶接協会):Q&Aフォーラムによると『フラックスの煙を大量に吸飲すると身体に悪影響を及ぼす、金属成分の蒸発は無いか、あっても極微量(要約)』というものでした。
対策としては簡単にはマスク着用と換気。
部屋への影響が気になる方は、フィルター付きの空気清浄機が各種販売されてます。
写真は汎用の空気清浄機。はんだ付け専用の吸煙器もあります。

吸煙対策品(その2)

私の場合、部屋の空気の流れのせいか煙がもろに顔に当たります。
煙を右から左へゆっくり流すファンが欲しかったので、手持ちのAC100Vの小型ファン、調光器で、超スローに回る送風機を作りました。
ゴムの台に乗せてしまえばほとんど音もしませんし、こて先の温度にも影響を与えません。
扇風機を離れた場所で弱で回すのもいいかと思います。

洗剤

不幸にして生フラックスが手についてしまったときは、少量ならティッシュにIPAを含ませて拭けばいいのですが、範囲が広い場合は油汚れ用の洗剤の方が有効です。
ただ、これは結構高いので、家庭用の洗剤で中に研磨剤の粉が入っているもの(カネヨンなど)が使えます。

フラックス洗浄用容器

はんだ付けした接合点付近は必ず焼けたフラックスで汚れています。
この汚れを除去するためにはIPAと筆を使うのですが、小さな部品などは小皿に入れたIPAに漬けてしまった方が効率的な場合があります。
そのための容器、単なる灰皿の流用ですが重さがちょうどいいので使っています。
軽くて安定しない容器にIPAを入れるのは危険です。

金属くず専用ごみ入れ

はんだ付けアート製作では、結構金属くずが出ます(はんだくず、線材の切りくず・失敗分、使用ずみはんだ吸い取り線など)。
これらは一箇所にまとめておきます。
廃棄は、お住まいの自治体のゴミの分別ルールに従います。



自作ジグ類

アート作品を効率よく製作するためには、作品ごとに簡単なジグを先に作らなければならない場合もあります。
そのようなジグの中から、汎用的にも使えそうなものを紹介します。
材料は、大半がグラスエポキシのユニバーサル基板(1.6mm厚)をカットしたものを使っています。
接着はエポキシの5分間速乾タイプ。

線材定量カッター#1

ギャラリー掲載作品の『マリンタワー』を見てください。
塔の水平方向の梁は同じ長さの線材が8本(8角形なので)×21セット必要になります、長さは高さによって異なります。
そこで線材を任意の長さで複数カットできるジグが欲しくなります。
そのような工具は市販されていそうな気がするのですが、見つけられませんでした。
そこで自作です。ワイヤーストリッパーの剥き代を一定にするジグが市販されていますので、それを応用してストリッパーのカッター部分にセットできるようにしました。
材料は1mm厚のアルミ板を加工しました。

線材定量カッター#2

ギャラリー掲載作品の『ベイブリッジ』を見てください。
橋のトラス部分には、1.6mm、1.8mmの太さの線が大量に必要です。
#1のジグでは、構造的に最短が5mm程度が限界です。そこでまたジグ作成です。
丸く見えるナットを回して、緑色のエポキシ板と真鍮ブロックの間で所定の長さを出し、長いナットでロックします。
線材を垂直方向に軽く真鍮ブロックに突き当て、ニッパーを緑のエポキシ板に沿ってカットします。刃の当て方で長さが微妙に変わってしまいます。多めに切って選別します。

線材定量カッター#3

こちらは作品をマウントする板に立てた線材(ピンバイスの項をご覧ください)を、目的に応じて一定の高さに切りそろえるものです。

線材高所ホルダー

高所といっても10cm前後ですが、高い場所で線材を保持させたいときに使用します。

線材垂直ホルダー

線材を立てた状態で保持したい場合に使います。

線材水平ホルダー各種

線材を作業用の板に押し付けておきたい時に使用します。
私の方法ですと、図面を貼り付けた作業用の板を用意し、図面にそって線材を固定してはんだ付けしていきます。
物によっては結構量を使います、長楕円の穴は前後の自由度を高めるため。
木ねじに挟まっているスペーサーは、ねじの先端が板を突き抜けるのを防止するため。

線材加工用ホルダー

複数の線材にマーキングを入れたり、シャープな直角に曲げる際、内側の肉をやすりで削ったりする時に使います。
線材は長めに切り出しておき、両端を軽くはんだで固定(丸太のいかだ状)してからジグに固定します。
そうすれば、バラバラずれてこないし、ぴったり180度の裏を簡単に出せます。

円形成ジグ

線材を円形に加工する時に使用します。
線材をピンと伸ばしてから、線端を5mm程度工具で掴み180度曲げフック状に加工します。
ジグの穴(写真中、基板の穴)にフックを引っ掛けジグの胴に線材を巻きつけて円を形成します。
真鍮線の場合にはスプリングバックによる巻き戻りがあるので、目的の直径よりやや細めの径に巻きつける方がいいようです。
あとはケチらずに1周+半周くらいまで巻くと後の整形が楽です。